機器導入の流れ

機器導入の流れ

対象者と選び方」を確認して、入力スイッチを使って様々な機器を操作したい、となると、入力スイッチとその先につなぐ機器を検討することになります。

手の不自由な方(以下、「患者」と言います)は、テレビのリモコンやパソコンのキーボードなど、電子機器の操作で不便を感じます。また、呼び出しブザーすら押せない、と言う状況になると、患者は安心して寝ることも出来ませんし、支援者もその場を離れることすら出来なくなります。

さらに、発声・発語も難しいという方は、声で伝えるのも難しくなります。それらを補うために、特殊な入力方法とそれに対応した電子機器を使えば、健常者に近いレベルまで生活を快適に過ごすことが出来るようになります。

そこで、ここでは、以下について順番に紹介していきます。

※入力スイッチを使うほどではないが、やはり手が不自由で、少し補助する機器や方法が知りたいという方はこちらのページを参照してください。対象者と選び方

1. 入力スイッチの選定

1-1. 入力スイッチの入手方法

支援者は、患者にコミュニケーションを取って欲しいという思いで、適当な入力スイッチと意思伝達装置をメーカーや販売業者から借りてきて、すぐに「テレビを操作して!」とか「意思伝達装置で名前を入れて!!」ということをお願いします。なかにはすぐに言葉を綴れる方もいるかもしれませんが、全ての方がすぐに機器を使えるようになる訳ではありません。どちらかというとすぐに使えない方の方が多いのです。
その理由としては、以下の3つがあります。

  1. その入力スイッチが患者の残存機能に合っていない
  2. そもそも入力スイッチの意味が理解できない
  3. 機器の操作方法も障害を持つ方特有のため、理解できない

このような状況では、支援者がどれだけ説明しても、患者にとっては逆にストレスがたまります。焦らず、まずは、適切な入力スイッチの選定することが重要です。

とはいえ、「どんな入力スイッチがあるの?」という方が多いと思います。
実は入力スイッチは様々なものがあります。
国立リハビリテーションセンターの伊藤和幸先生が一覧にしてくださっていますので、こちらをご覧ください。
意思伝達装置用スイッチのページ

お奨めのスイッチ製造メーカー

個人的にお奨めできるのは、下記の製造会社です。(順番は関係ありません。)
これらはそれぞれの企業から直接購入できるものや、お近くの福祉機器販売店経由で購入できるものがあります。

ご注意

上記以外の製造業者の入力スイッチの中には、「入手しにくい」、「地域限定」、「高額」、「デモ器が無い」、「壊れやすい」などの課題があるものもあります。また、上記以外の一部の会社が独自で作製するものの中には”完全手作りの粗悪品”もあります。ご注意ください。


1-2. 入力スイッチの種類と特徴

まず最初に、入力スイッチは大きく分けて「プッシュ型」と「センサー型」の2つの種類があることと、それぞれの特徴を知ってください。

入力スイッチとは
<図1.1 入力スイッチとは 〜大きく分けて2種類がある〜>
図1.2 プッシュ型スイッチとセンサー型スイッチの特徴
<図1.2 プッシュ型スイッチとセンサー型スイッチの特徴>

その上で、以下の順番に患者に合うスイッチを選定していきます。

1-3. 身体の動く部位の確認

スイッチの選定の前に、身体の動く部位を探します。
障害を持つ方が身体の動く部位として考えられるのは概ね以下の図の部分です。
考え方としては、”かすかな動き”でも良いので、”患者本人の意思で繰り返し安定して動かせる”部位を見つけることです。

<図1.3 身体の動く部分と対応する入力スイッチの例>
<図1.3 身体の動く部分と対応する入力スイッチの例>

1-4. 使えそうなスイッチを見つける

図1.1と「入力スイッチの適合事例」のページから、使えそうな入力スイッチを探してください。
スイッチの詳細検索」のページで動作部位の条件を入れて、同様の可動部位を持つ方の事例を参考とすれば、見つかりやすいと思います。

しかし、やはり実際に入力スイッチを使ってみなければ、押す力や震えの影響などがあるのか判断は出来ません。それでも実は、手の指(親指の内転や四指の内転)が使えることが多いと思われます。
図1.4に、指でスイッチを操作する場合の「指先の力の有無」と「指先の震えの有無」と適している入力スイッチの例を示します。

<図1.4 指先の力と震えの有無の関係>
<図1.4 指先の力と震えの有無の関係>

以下、図1.4の各エリアに対応する指で操作する入力スイッチの操作例を示します。
※下記は一例であり、これらに限られるものではありません。その他の導入事例も参照してください。

各エリアに対応する指で操作する入力スイッチ参考事例

<青色の領域> 押す力あり/震え無し
レッツ・チャット利用中
入力スイッチは大阪の「福祉支援サービス コミル」製の「ロックアームスイッチ」を使用し、車いすのオーバーテーブルに固定し、腕の内転で押して操作。 池原さんが奈良新聞に掲載されま
利用しているスイッチ:ロックアームスイッチ(またはジェリービーンスイッチ)

フィルムケーススイッチ
入力スイッチは「フィルムケーススイッチ」を使用、「ケーブルタイ」を使って手に固定、親指で押す動作を確保しました。 動画は、タイミング良く押す練習をするため、「1,2,3と声をかけるの
利用しているスイッチ:フィルムケーススイッチ
<黄色の領域>  押す力なし/震え無し
こんなわずかな動きでもスイッチ操作ができます
手の指がわずかに動くことから、PPSスイッチのエアバッグセンサーを手のひらの下に敷いて、動く部位で入力スイッチを押してもらった。 動きの変化はわずかだが、センサーの感度を調整することで適
利用しているスイッチ:PPSスイッチ

「メカニカルタイプ」の入力スイッチ
利用者はNo.21と同一の方。 空気圧方式の入力スイッチを押して機器を操作する中で、手の動きが回復し、特に中指の動作に力のあることが確認出来た。これより、「センサ
利用しているスイッチ:プラケーススイッチ
<赤色の領域> 押す力あり/震えあり
スペックスイッチを利用
手のひらでスペックスイッチを押そうとするが、スペックスイッチだけを握ると手を握り込んでしまい、しばらく押しっぱなしになる。 そこで、手に木の筒をストラップで固定し、適切な場所(この場合は
利用しているスイッチ:スペックスイッチ

フィンガースイッチを利用中
「フィンガースイッチ」と呼ばれ、指先につけて、ピンチ動作(ティッシュペーパーをつまむ動作)、親指の内転動作(親指を人差し指の方へ寄せる動作)等で押すスイッチ。 指の動作を確認した
利用しているスイッチ:フィンガースイッチ

自作スイッチ
入力スイッチは「フィンガースイッチ」を使用(事例No.16を参照) 「母子(親指)内転動作」が安定していたことから、親指側にケーブルタイを巻き付けてスイッチを固定、示指(人差し指)側
利用しているスイッチ:フィンガースイッチ
<緑色の領域> 押す力無し/震え無し

(適切な事例はまだありません)

一方、手で入力スイッチの操作ができない、と言う方は手以外の部位で操作する方法も少なくありません。
幾つかの事例を以下に示します。

パソコンを利用中
右足の親指と人差し指の間にプラケーススイッチを挟んで 操作するようにした。ただケースの中のタッチセンサースイッチは感度が良過ぎるのでケースの中に 硬めのウレタンを挟んでプラケーススイッチを
筋萎縮性側索硬化症(ALS)
岡本さんの沖縄旅行が琉球テレビで放送されました!
ピンタッチスイッチ
つけまつげにアルミを貼り、まばたきによる操作でアルミホイルをわずかに上げています。 そのとき、目の上にあるピンタッチスイッチの先端にアルミホイルを触れさせることで、スイッチをONにしてい
ピンタッチスイッチを利用中
ピンタッチスイッチを口の前に固定する必要があったことからUSBヘッドセットを購入、ケーブルやマイクなどを切断して、マイクのワイヤーにピン タッチスイッチのセンサーを沿わせ、口の前の

これらの情報を参考に、患者に適切な入力スイッチを検討し、病院の作業療法士や福祉機器販売店の担当者に相談して、入力スイッチを試されることをお奨めします。

入力スイッチは先ほどのお奨めのスイッチ製造メーカーのものから検討してください。

もちろん、単純な入力スイッチなら安価で販売しているものもありますし、簡単なはんだ付けで自作できるものもあります。
また、自分で作れない!という方は、以下の所から入手することが出来ます。

1-5. 入力スイッチを入手する

入力スイッチの入手の方法はいくつかあります。

(1)入力スイッチを借りて試す

病院、施設

一番確実でフォローも期待できるのは患者が関わっている病院、施設が入力スイッチを持っていて、それを貸してくださる場合です。
この場合は費用も無料か比較的安価で、セラピストがリハビリの一環で適合や練習に対応してくれる可能性もあります。
これが理想的な導入パターンですが、すべての病院、施設などが対応してくれる訳でもありません。
また、残念ながらすべてのセラピストが導入のノウハウを持っている訳でもありません。

患者団体、行政

難病患者などでは、その難病の患者団体が独自にコミュニケーション機器を所有し、貸出やスイッチ適合を行っている場合があります。
例えば、筋萎縮性側索硬化症(ALS)の患者団体では、入力スイッチの選定も含めて、コミュニケーション機器の導入相談に対応してくれています。
また、一部の市町村では、保健所などの行政機関が支援業務の一環として機器を管理、貸出をしてくださるところもあります。
同様にお問い合せください。

福祉機器業者

入力スイッチの入手を検討している患者の多くは、すでにどこかの福祉機器業者と、ベッドや車いすなど、別の福祉機器の導入で関わりがあると思います。その業者へ相談するのが最も近道です。この時の、注意点としては、「適合のノウハウ」「貸出費用」「貸出期間」「導入後のサポート体制」の4点です。

実は福祉機器業者と言っても、コミュニケーション機器の導入が得意な業者と、そうでない業者があります。借りるだけならほとんどの業者が対応してくれますが、一人ひとりの患者に最適な入力スイッチとその設置方法(持ち方)まで提案できる業者となると限られてきます。できれば、意思伝達装置の取り扱いの実績の多い福祉機器業者へ相談することをお奨めします。(ただし、ご注意するべき事項はあります。)

また、機器や入力スイッチの不具合が発生したときのことを考えると、できるだけ近隣で業者を探した方が無難です。多くの場合、入力スイッチは意思伝達装置とセットで貸してくれる場合が多いので、後述する、3. 機器の選定と入手方法も参考にしてください。

様々な入力スイッチを取りそろえていて、全国的に対応してくれるお奨めの販売業者は「パシフィックサプライ(株)」です。

スイッチセット(パッとレンタル用)
スイッチセット(有償レンタル、購入も可能、サポートは別途有償)

ただし、パシフィックサプライは機器の卸業者でもあり、地域によってはそこから紹介される地元の福祉機器業者と連携して対応してくれることになりますが、その場合はパシフィックサプライのフォローもあると思われ、安心できます。

その他にも、全国各地に入力スイッチの貸出に対応してくれる業者があります。上記注意点を確認しながら相談してください。
※今後、全国各地の対応窓口となる販売業者、NPOを一覧として公開していく予定です。

ご注意

意思伝達装置専門の業者のなかには「貸出無償 ただし、当社からの導入が前提」と表記しているところがあります。その場合、もし何らかの事情でその業者から購入できないとなると、後になって予想外の貸出費用を請求されることがあります。「その業者から入力スイッチや機器を購入することが最初から決定している。購入後のサポートも不要!」という場合は良いですが、導入が未確定な時点でそのような業者にお願いする時はご留意ください。
また、「無償だから」といって、導入予定も無いのにデモ器の依頼を出したり業者やボランティアに要求を出すのではなく、適正な相談、依頼を心がけてください。

(2)買って試す

この場合、基本的に自費で購入することになります。(補装具給付制度の補助金を活用して意思伝達装置を導入する時には入力スイッチも補助対象となりますが、給付認定が出る前に自費で購入した場合、後から行政にお金を返金してもらうことは出来ませんのでご注意ください。)
入手するまでの時間は最短ですので、「まずは安価な入力スイッチで大丈夫だから、早く試したい」とか、「この入力スイッチでまず間違いない!」というときは、とにかくすぐに試すことが出来ます。
ただし、デメリットとして患者本人に合っていない可能性もあり、そのときはお金のムダになりかねません。
それでも、まずはレンタルの期間を気にせず試したいという時のお奨めのスイッチを以下にいくつか紹介します。
(いずれも指で押す、握って押すことを想定しています)

2. 入力スイッチの練習方法

入力スイッチの操作が「上手になる」とは、その入力スイッチをタイミング良く「押して、離して」を繰り返せるようになることです。
よく、相談に来られる方の家族が「本人はナースコールを押せるので…」と言われるのですが、「ナースコールを押す」ことと「コミュニケーション機器の入力スイッチを押す」ことは全く違います。

ナースコールは本人が鳴らしたいと思ってからしばらくの間に1度だけ押し込めれば良いのです。しかし、機器を操作する場合はタイミング良く、何度も「押す、離す」の繰り返し動作が求められます。
この動作が上手に出来るようになるまでは、その先に高度な電子機器を接続してしまうと、患者本人にとっては「入力スイッチも機器も意味がわからない!上手く動かない!!」ということになり、逆に混乱することもあります。
そこで、まず最初は入力スイッチを単体で使い、上手になることを考えてください。この練習には以下のことが大切です。

2-1. 目や耳へのスイッチ操作状況のフィードバック

患者の多くは寝たきりで、手や足、ほほなど、自分でスイッチ操作を行っている部位を見ることができません。また脳からの命令と違う動きをしていることも少なくありません。つまり、本人が押しているつもりでも押せていないとか離したつもりでも離せていないということが多々有ります。そのような状況で、入力スイッチだけを持って練習するとか、まだ動きを理解していない電子機器を接続しても、「押す/離す」のコツがつかません。
そこで、まず入力スイッチの先に練習用のブザーを接続し、入力スイッチを押したら音が鳴り、離したら音が止るようにします。

実際に、練習用ブザーを接続して入力スイッチを押している様子がたくさんあります。
これらを患者本人にも見せて、操作のイメージを支援者と共有してください。

練習用ブザーを接続して入力スイッチを押している事例

スペックスイッチを利用
手のひらでスペックスイッチを押そうとするが、スペックスイッチだけを握ると手を握り込んでしまい、しばらく押しっぱなしになる。 そこで、手に木の筒をストラップで固定し、適切な場所(この場合は
スペックスイッチで操作

フィンガースイッチを利用中
「フィンガースイッチ」と呼ばれ、指先につけて、ピンチ動作(ティッシュペーパーをつまむ動作)、親指の内転動作(親指を人差し指の方へ寄せる動作)等で押すスイッチ。 指の動作を確認した
フィンガースイッチで操作

「メカニカルタイプ」の入力スイッチ
利用者はNo.21と同一の方。 空気圧方式の入力スイッチを押して機器を操作する中で、手の動きが回復し、特に中指の動作に力のあることが確認出来た。これより、「センサ
プラケーススイッチで操作

ここで接続しているブザーは簡単な工作で作成できるものです。
残念ながら完成品は市販されていませんので、希望される方は以下を参考に自作して頂くか、キット(「操作スイッチテスターキット1回路、2回路)を購入してください。

練習用ブザー
入力スイッチの前に、簡単に作れる練習用のブザーを使ってみましょう。 入力スイッチを押したら音が鳴り、離したら音が止るようにします。 これにより、利用者が自分でブザーをタイミング良く鳴ら

これにより、利用者が自分でブザーをタイミング良く鳴らす練習をして、入力スイッチの操作が上手になってから入力スイッチの先に様々な機器を接続して使うようすることで、結果的に機器を早く操作できるようになる可能性が高いのです。

もし患者が耳も遠い場合は、ブザーの代わりに入力スイッチを押すと光るランプを作製することで対応出来ます。
また、患者がお子さんでブザーに対しては興味を示さない場合は、最初に入力スイッチを押すと動くおもちゃや、入力スイッチを押すだけでテレビのチャンネルを換えることのできるテレビリモコンを使って興味を持ってもらうことも出来ます。

2-2. 操作をしている部位を見せる

鏡などを使って、患者が自分の操作している手やほほなどの部位が見えるようにします。
これにより、患者本人がスイッチを合わせている部位に様々な命令を出して、その部位を動かそうとしてくれます。
推奨する鏡と固定具は以下のものです。

これらの方法で、入力スイッチを上手に押せるようになったら、いよいよ、入力スイッチの先に患者ご自身が使いたい機器を接続して機器の操作の練習を始めることになります。

3. 機器の選定と入手方法

入力スイッチが上手に使えるようになって、ようやく患者本人の使いたい機器を導入します。
多くの支援者が焦って「まずは機器を借りて使ってみましょう!」となりますが、それは例えるなら「免許は持ってないけどまずはレンタカーを借りてきて運転してみましょう!」と言うみたいなものです。機器を借りる場合も(レンタカー同様)費用が発生する場合もありますし、借りられる期間も限られます。入力スイッチを使える(患者本人の意思で「押す、離す」がある程度タイミング良くできる)見込みが立ってから、機器を借りて試すことをお奨めします。

3-1. 機器の選定

入力スイッチが使えるようになれば、ようやく、その先に接続する電子機器を改めて選定することになります。
しかし、いきなり目標とする意思伝達装置などの機器を導入出来るかは判りません。
特に、意思伝達装置を操作するには入力スイッチを「押したいときに必要な回数だけ押す、それ以外の時は押さずに我慢できる」事が必要です。
そういう意味では、以下の「図3.1 機器の導入におけるメリット、デメリット」を参照頂き、どの機器から使い始めて、どの機器の使用を目標とするかを考えながら、導入してください。

図3.1 入力スイッチで使える機器
<図3.1 入力スイッチで使える機器>

具体的な機器については、スイッチで使う機器のページをご覧ください。

3-2. 機器を試す

機器を試すときの考え方は入力スイッチを試す時と同じ考えです。基本的には、入力スイッチとその先に接続する機器は同じところから借りた方が、相談も行いやすいと思います。
ただし、「機器は病院にあったが、適切な入力スイッチが無い!」とか、「入力スイッチは病院のセラピストが対応してくれたが、使いたい機器が特殊なもので、病院では準備できなかった…」という場合は、この限りではありません。前述の、ご注意を確認しながら、病院、施設、患者団体、行政、福祉業者などから機器を借りるなどで、患者一人ひとり合った機器を探してください。

3-3. 機器を購入する〜補助金について〜

機器を試して、「使える!」と判断できそうになれば、機器を導入することになります。
導入にあたっては、公的な補助金を活用すれば、購入費用の一部を行政が補助してくれる場合もあります。コミュニケーション機器を導入する場合に活用出来る主な制度を以下の図3.2に示します。ただし、制度を活用出来るかについては、購入する製品、利用者の身体状況、行政の個別の判断などによってことなります。制度を活用する場合は、早めに「患者本人の住民票のある市町村の福祉窓口」に相談します。そこで、
(1)制度活用の可否
(2)活用可能な場合は申請の手順や必要な書類
を確認できます。必要な書類を揃えるのに、時間がかかる場合もあるので、早めのご相談をお奨めします。

利用者の自己負担額は基本的には1割ですが、患者同居家族の収入・資産状況や過去の給付内容で変動します。こちらも合わせて行政に確認してください。

なお、機器は原則「購入」であり、介護保険などの「レンタル」はありません。

<図3.2 コミュニケーション機器導入における公的補助の種類>
<図3.2 コミュニケーション機器導入における公的補助の種類>

この中でも、特に高額となる「重度障害者用意思伝達装置」は、厚生労働省の基準では搭載されている機能に応じていくつかに分かれています。厚生労働省の補助金の枠と、該当製品を以下の図3.3に示します。

選定にあたっては、患者本人のやりたいこと、機器の理解力に加え、支援体制なども含めて判断してください。「安く買えるので、必要無いけど買っておこう」とか、「せっかく補助金があるので一番高い機器を買おう」という考えは認められません。

なお、制度の詳細については「日本リハビリテーション工学協会 意思伝達装置ガイドライン」を参照してください。

<図3.3 意思伝達装置の補助金の枠と該当製品>
<図3.3 意思伝達装置の補助金の枠と該当製品>

ほとんどの地域では、以下のいずれかになります。

機器 価格(非課税)
レッツ・チャット ¥191,000-
伝の心 ¥450,000-

また、地域によっては、「オペレートナビ」「話想」等を認めているところもあります。
その他には、視線入力方式の意思伝達装置もありまが、約150万円と極めて高額なこともあり、入力スイッチの適合で一般的な意思伝達装置が使える場合は、まず補助金は認められません。
※他にも安価なものもありますが、パソコンやコネクタ等、別途購入の必要があったり、メーカーや販売店のサポートが十分でない製品もあります。よく確認してから判断してください。

また、重度障害者用意思伝達装置の本体を給付される際は、周辺機器も「修理項目」として補助を受ける事ができます。具体的な品目と金額を以下に示します。

<図3.4 意思伝達装置の各品目における給付金額上限>
<図3.4 意思伝達装置の各品目における給付金額上限>

これらの情報を踏まえ、以下の点を踏まえて、機器や周辺機器を選定します。

(1)患者本人のやりたいこと
目の前の方とのコミュニケーションが主か、ネットワークを通じたメールも使いたいのか?
(インターネットを活用する場合、通信環境は利用者の負担となります)

(2)患者本人の機器の理解力
パソコンの操作方法やセキュリティの知識があるのか?

(3)支援者の体制
特にパソコンを使った機器の場合、支援者に操作を求める場合が少なくありません。
支援者もパソコンの知識をある程度持っていることが求められます。

以下、主な給付品目である「レッツ・チャット」と「伝の心」の具体的な給付内容を記載します。

3-4. 機器を購入する〜レッツ・チャット〜

意思伝達装置レッツ・チャット

レッツ・チャットのメリット

マイコンを使った意思伝達装置の専用機で、起動から終了まで患者が一人で操作出来ます。
フリーズなどのトラブルもなく、入力スイッチを接続すればどこでも会話が始められます。
小型軽量で、持ち運びも負担になりません。
外部ブザーやテレビリモコン機能も搭載しています。
プリンタを接続すれば印刷もできます。
固定具などの周辺機器も多数揃っています。

レッツ・チャットのデメリット

電子メール、インターネットなどはできません。
文章作成において、漢字変換やアルファベットなどは使えません。

レッツ・チャットの導入における補足具給付制度の枠と金額を以下の図3.5に示します。
(修理項目の製品は一例であり、これに限るものではありません)
なお、入力スイッチは、図3.4のいずれかの入力スイッチを購入できます。

<図3.5 レッツ・チャット導入時における補装具給付制度の対応品目>
<図3.5 レッツ・チャット導入時における補装具給付制度の対応品目>

3-5. 機器を購入する〜伝の心〜

伝の心

伝の心のメリット

パソコンを使った意思伝達装置の汎用機で、パソコンに専用ソフトをインストールしてあります。
アルファベット、顔文字、漢字変換等を活用して、豊かな文章作成が可能です。
電子メールを使って、遠隔コミュニケーションが可能です。(通信費用は患者負担)
プリンタを接続すれば印刷もできます。
Windowsの操作も可能なので、一般のソフトウェアも使えます。(制限あり、メーカー保証外)

伝の心のデメリット

基本がパソコンのため、設定やフリーズのトラブルは避けられず、支援者の確保が必須
標準セットでは、電源のONは支援者が行う必要があります。
パソコンのため外出時の利用には適していません。

伝の心の導入における補足具給付制度の枠と金額を以下の図3.6に示します。
(修理項目の製品は一例であり、これに限るものではありません)
なお、入力スイッチは、図3.4のいずれかの入力スイッチを購入できます。

<図3.6 伝の心導入時における補装具給付制度の対応品目>
<図3.6 伝の心導入時における補装具給付制度の対応品目>

その他の意思伝達装置はすべて、「パソコン」+「ソフトウェア」です。
給付の可否や条件は「患者本人の住民票のある市町村の福祉窓口」にご相談願います。

4. 入力スイッチの選定

(入力スイッチの再適合など。近日公開予定です。)